【コスモとスバルのドラッグなはなし】No33 「コロナと李登輝総統」
日々増え続ける日本のコロナ感染者。
対照的に、見事にこの疫病を見事に抑え込んでいる台湾。
そのカギは、徹底した水際対策もさることながら、リーダーの意思決定およびコミュニケーション能力といわれています。
マスク在庫と流通、購入場所をいつでもスマホでチェックでき、日本のようなばかげたマスク騒ぎにならなかったのは、システム導入を主導した天才IT大臣、オードリー・タン氏と彼を起用した蔡英文総統の功績であることは、まちがいありません。
この人財の違いはなんなのか。
先日亡くなった、李登輝元総裁の魂が脈々と受け継がれているのも、大きな要素ではないか、と思います。
中国共産党から逃れて台湾にやってきて、政府を樹立した勢力に対し、元々台湾で生まれ育った政治家として、融和したり、けん制をしながら、ついには台湾のトップに上り詰めるや、民主化と経済成長を主導し、アジアの龍として発展させた男。
以前、彼のオフィスを訪問した際は、直接会話できませんでしたが、大政治家のオーラと深い感銘を覚えました。
世界史的視点と、人民への愛情と、改革への熱意。
何より、他者への温かいまなざしと、敬意をわすれない、謙虚さ。
日本に学べ、とはマレーシアのマハティール元首相、シンガポールのリークワンユー首相などと同じフレーズですが、李登輝氏のそれは、より一層温かみを感じるのは、彼が京都帝国大学に学んだから、というだけではないでしょう。
彼は著書で、「中国人は、独裁者を求め、崇拝する歴史がしみついているので、注意しなければいけない」と語り、自らの政権引き際を考え、後継者の育成を図りました。
今の日本のリーダーたちの頼りなさを、晩年の李氏はどう思ったのでしょうか。
まさか、「反面教師にして、学べ」とは言わなかったでしょうが。(P)