【コスモとスバルのドラッグなはなし】No32 「香港の漢方薬」
コロナとの闘いが続きます。
世界中の医学者、科学者が劣勢挽回しようと、取り組んでいますが、ウイルスは突然変異することもあり、ワクチン開発には時間もかかり、開発できても変異種とのあらたな戦いが始まるかも。
西洋医学の薬は対処療法、すなわち受け身なので、どうしても積極的にこちらから攻める療法は歴史が浅い。
いきおい、ひとりひとりが体内で持つ、ウイルスへの攻撃力、抗体や免疫システムにたよらざるをえませんが、どうやって強い体質を得られるか。
もしかすると、四千年の歴史をもつ漢方にも役立つものがあるかもしれません。
北京や香港で、漢方の専門店にいくと、サソリとか、タツノオトシゴ、冬虫夏草(虫の背中からキノコが出ているやつ)など、ついグロテスクなものに目が行ってしまいますが、体質改善に役立てる長い長い歴史があった。
現代の知恵だけでなく、古くからの人類の知恵にも、期待したいです。
歴史といえば、今その転換点に立っているのが、ほかならぬ香港。
突然中国が無理強いしてけしからん、とはおおかたの欧米、日本メディアの論調です。
しかし、よく考えてみると、歴史の必然であり、諸般の事情で少し早まっただけなのかも、
少なくとも過去何十年も、香港市民はあまり政治に関心がなかったのです。
自由にお金儲けができれば、何もうるさいことを言わない政府が理想的。まさに自由経済の最先端。
それが北京の政府が徐々にコントロールを強めようとしたので、民主化を若者中心に叫び始めた。
2014年の若者中心の反政府デモ活動、警察の放水に対抗して傘をさしたことから、「雨傘運動」とよばれ、市内の中心街を占拠するに及びました。
当時、香港に暮らしていて、道路も閉鎖されずいぶんと不便も感じましたが、市民が拒絶しなかったのは、コントロールされる重苦しさを感じ、商売が自由にできなくなる不安を感じたのではないか、と思います。
中国の視点で見れば、香港を自由貿易の砦として最大限活用できれば、それでよいのだが、基本は共産党による社会のコントロールが大前提なので、上海のような、政府の言うことをきく銀行、企業のまちにしたい。
その衝突であったともいえます。
ではこれからどうなるのか。
メディア報道の印象からは意外かもしれませんが、私の友人の香港市民は、冷静です。
雪崩を打って、自由貿易港のシンガポールに移住したいかといえば、そうとは言えない。
シンガポールは欧米化されているが、実は政府による強烈なコントロールがあるから。
「成功した北朝鮮」とシンガポールに住んでいたころ、感じることは多くありました。
実は商売に対する統制では香港とシンガポールは対極にある。
香港が中国政府によって、上海のような、コントロールされた経済になってしまうとき、香港人は台湾、カナダやオーストラリアなど、比較的政府規制のゆるい国に移住を考える。すでに冷静にその布石を打っているんです。
子供を留学させたり、資産の一部を移動したり、一族の一部を先行移住させたり。
ひょっとすると、選択肢のひとつは政府がボーっといきている、日本なのかも。
商売ができれば、住むところはどこでもかまわない、究極のグローバル市民、それが香港人、なのですから。(P)